新川文化ホール「ペーパークラフトの世界展」2012.1.7-1.22
 2012年1月7日から22日にかけて、篠崎均さんごとうけいさん光武利将さんと4人で、富山県魚津市の新川文化ホールにておこなった「切って、折って、貼って・・・平面が立体に ペーパークラフトの世界展」、期待以上の盛況のうちに無事終了しました。ありがとうございました。大勢の方にご来場いただきましたが、気にはなってもなかなか気軽に足を運べる場所ではありませんので、こちらで展覧会の様子を紹介させていただきます。あ、ちなみに書いてる僕は坂啓典です。

設営に向かう高速道路はいきなりの猛吹雪。今回に向けてスタッドレスタイヤに履きかえたハイエース@KEI CRAFT号で、会期中に東京-富山を3往復したごとうさんは、雪道ドライブのプロになりました。ちなみにこうなることを予測できた僕は、ひとり電車で別行動しましたよ。搬入搬出はプロのドライバーさんにお願いしてよかったです。
ようやくたどり着いた新川文化ホール全景。クラッシックコンサートも開催される音響抜群の大・中ホールに最新設備を備えた会議室、そして今回展示をおこなった県で最大の展示ホールを備えた、ものすごく立派な市民ホールです。後ろに少しだけ見えてるのが立山連邦。冬場にくっきり見えることは珍しいんですが、日頃のおこないのおかげか、初日と最終日はこの時期には珍しい晴天となりました。2日目の日曜日には魚津市の成人式もおこなわれ、予期せぬ目の保養をすることができました。式の流れで見てくださった、新成人や親御さんも多かったようです。
ホール前の大きな看板。今回のチラシや看板は、僕がデザインを担当させてもらいました。
1階のロビーには、段ボールでできた客寄せパンダならぬ客寄せステゴサウルス。もちろんTVチャンピオン段ボール王選手権三連覇、篠崎さんの作品です。この後、放映時につけてたゼッケンを足下に並べたら、いきなり人が集まり始めました。テレビの力はやっぱり絶大です。
2階にのぼって通路を進むと、展覧会の大きな看板があらわれます。この看板をパネルに貼るかどうかで、開催前日の夜11時過ぎにドタバタしたのでした。貼ってよかった。
2週間の期間中、受付と販売と会場案内を一手に引き受けてくださった頼もしいお姉さま方。土日は食事の暇もなかったんじゃないかと思います。ありがとうございました。6時の閉場になると素早く集計してその日の入場者数と売上高を報告してくださり、毎回拍手と歓声が湧きました。
受付を入ると4人のプロフィールバナーがお出迎え。バナーに刷った展開図の完成品をその前に展示してあります。
展覧会らしくそれっぽい挨拶文も書いてみました。作り手側の希望的観測も文字にして断言してしまえば、あぁそんなもんかと思うもんです。最近はやりのステルスなんとかってやつです。
でも丁寧に読んでくれる人がなかなか少ないのは、きっとこんなのが三歩先に見えちゃってるからですね。
じゃじゃん、いきなり今回の目玉、原寸大のNSXの登場です。見た瞬間歓声を上げる子どもと苦笑いをする大人のコントラストが印象的でした。こんなものよく作る気になったなぁって俺でも思うもん。レースクイーンになりきっての撮影コーナーは父親には好評でしたが、いきなりセクシーになった年頃の娘さんを見て眉をひそめるお母さんもいらっしゃいました。
NSXの背後から見た篠崎さんの展示スペース。
壁面には完成までの制作記が。こっちはみなさん足を止めてじっくり読みふけってくれました。ほぼ同じ内容のものを、こちらでご覧いただけます。
車クルマくるま。初期の作品はエアブラシで描いてるってのがすごいです。ちなみに篠崎さん、設営の最中にめでたく50+?回目の誕生日を迎えられました。前回のグループ展が2003年だったから、次回集まる頃には還暦ですかね。
無料ダウンロードのNSXシリーズに次いでの人気商品は、普段はお台場のシェルミュージアムでしか購入できないフェラーリF2004。具体的な数字を出すとヤらしいから言わないけど、作った本人もびっくりするほど売れてました。
車コーナーのお向かいには、篠崎・光武コンビが制作する島津製作所の医療機器ペーパークラフト。いきなりのマニアックさに女性の方は素通りするかと思っていたら、展開図と見比べながら食いつくように見ている若い女性もいてびっくり。是非お近づきになりたい。
お次は光武さんの簡単ペーパークラフトコーナー。幼稚園あたりのちびっこは、この辺から徐々に目が輝きはじめます。
そしていよいよ光武さんの本領発揮、精密な建築物やプロダクトのコーナーに向かいます。
何度見てもため息が出る、パティックフィリップの腕時計。ベルトの金具一つ一つがすべて紙の別パーツでできてます。
注目の的、アンカーの1/7スケールロードレーサー。チェーンもスポークもワイヤーも全部紙でできてます。「ペーパークラフトに一番向かないモチーフは何ですか?」って聞かれたら、僕なら迷わず自転車って答えます。作った光武さんはもちろんだけど、思いついて依頼した人は偉い!
僕のキャラクターものも登場。やっぱり一番人気はムーミンでした。
展示用にやや拡大して作ったキリンビバレッジの季節のイベントシリーズ。年配の女性の方にはとっても評判が良かったんですが、ネットから無料で落とせるってことを説明するのに難儀しました。僕の母親も欲しがって、展覧会が終わった後は実家に引き取られることになりました。後ろに見えてるのはMAKE CITY。アメリカでは間もなく新作も発売予定です。
そして僕のからくりの部屋。20数点の作品は、どれも触って遊べるようにしました。皆さんとっても丁寧に扱ってくれるんですが、予想以上の大入りで2日目にして数点が破損。一時はどうなることかと思いましたが、最終的には5点ほどの交換で済みました。
壁際には電動モデルを飾りました。なんとか2週間動き続けてくれました。
奥の壁にはからくりの素の拡大モデルと解説パネル。「あぁ、こうなってるんだ〜」なんて声が聞こえてきた日には、心の中でガッツポーズですよ。
その横はBRHと国立科学博物館のミュージアムグッズコーナー。この会場では浮くかなぁと心配してたんですが、解説をじっくり読んでくださる方も(50人に1人くらい)いました。いいんです、元々そういう層を狙って作ってるんです。
リモコン下駄で遊ぶ女の子。このまま連れて帰っちゃいたい。
電動ペンギンの動きにあわせてはばたき続ける男の子。こっちは・・・いいかな。
そして最後はごとうさんの部屋で締めてもらいましょう。年々大きくなっていくごとう作品、もう何がどうなってるのやら。出口に控える原寸大のキリンの頭部は、NSXと並んで記念撮影のメッカとなり、翌日の北日本新聞の文化面を飾りました。
物販スペースの中央に並んだ、元々のサイズの動物たちです。100点くらいは並んでますから、これだけでもちょっとした展覧会がひらけます。
展示の巨大作品もさることながら、販売コーナーのチビガエルも大人気でした。これ全部完成させた人は次回の展覧会の時にバイトお願いしますってごとうさんが言ってます。

さてここからはお客さんが入った様子を少々。前日までの雪も初日の朝には上がり、気をもむ間もなく9時開場の直後から続々とお客さんが入り始めました。チラシや新聞に載った紹介記事を見て、以前から楽しみにしていてくださったそうです。初日の入場者数は500人超。その様子がテレビで流れて、僕らが会場を後にして東京に向かっていた2日目の夜には、一日で1000人近くの来場者があったとの連絡が入りました。みなさんニコニコした顔で帰ってくださるのがうれしかったです。
なにより意外だったのはキット販売コーナーの大賑わい。ほとんどの方が何かしら買って帰ってくださったんじゃないかなぁ。品切れ品も続出してご迷惑をかけてしまいました。1月の魚津は間違いなく世界で一番ペーパークラフトが売れた町です。
そしてこちらはワークショップの様子。最終日の予約が早々に埋まってしまったため、追加で初日にもおこなった講座もおかげさまで満員御礼。15人(組)定員のはずが、付き添いのご両親、場合によっては三世代での参加で、大会議室がいっぱいになりました。ちなみに僕はキットの準備が間にあいそうになかったのでこの日の教室はパス。最終日にはがんばります!
お手伝いに来てくれた、謎の美大生カナちゃん手描きのホワイトボード。これは分かりやすい!
最終日におこなった僕のワークショップには、25名の定員に加えて約40名の付き添いの方が参加してくれました。みんなやめとけって言ったのにカッターナイフの刃の折り方から始めてサークルカッターの使い方まで教えたもんだから、1時間半の予定時間を大幅にオーバー。後の教室の光武さんとごとうさんに多大な迷惑をかけてしまいました。ごめんなさい。でも本人としてはあっという間の2時間半でした。参加してくれた人もそうであったことを願っています。
受付の前に置いたゲストブックにも、大勢の方が記帳してくれました。あと20年ほどして隠居したら、縁側でお茶飲みながら読み返して、しみじみしたいと思います。

こちらは設営の様子。2日もあれば何とかなるよねって高をくくってたんですが、予想に反してというか案の定というか、初日当日の深夜まで作業は続きました。つきあっていただいたホールのスタッフの皆さん、本当にありがとうございました。その原因の一つが、12月の半ばになっていきなり持ち上がった、どうせなら展示台も紙で作ってしまおうというこのメンバーならではの思いつき。会議テーブルをくるむ段ボール製の特製展開図はもちろん篠崎さんの設計で、原寸大NSXでもお世話になった段ボール会社の方が一週間足らずで抜き出してくれました。二人がかりで組み立てて、パンチカーペットを天板のサイズに合わせて切って敷くのに一台約15分の超スマート設計なんですが、テーブル30台分を作るのにどれだけかかるかってのは、これはもう算数の問題です。設営の一日目はほとんどこの作業に費やされました。全身を使った慣れない作業に、筋肉痛が一週間ほど続きました。
こっちは搬出の様子です。2週間回され続けたからくりも、ほとんどは壊れずに会期を終えました。紙ってすげー。あと富山県の子供の行儀の良さもすげー。

お約束のごとうさんの搬入風景。普段はマイカーのハイエースに作品を直にぶっこんでの搬入なのですが、今回は2トントラックを借り切ったため、箱詰めの必要がありました。おかげで撮れた貴重なショット。
こちらは撤収時に天井から下ろされた紙の海洋生物。グリーンピースが見たら目をひん向きそうな光景です。

搬入と搬出を合わせて1週間のホテル暮らしで、毎晩の食事も楽しみの一つでした。白身魚の生ウニ乗せの奥に見えるのは白エビ。どちらも絶品!そして安い!!ブリ大根はトロトロで、骨ごと食べられました。

この展示をもって引退が決まった原寸大NSXの「上」で、みんなで記念撮影。みんなもNSXもお疲れさまでしたー!!

閉会の翌日から北陸は大雪。撤収を終えて東京へ向かう最終電車に乗る頃には、あたり一面の雪景色でした。車窓を舞う雪と鱒寿司を肴にビールを飲みながら、達成感と虚脱感でちょっとセンチメンタルな気分で魚津を後にしたのも束の間、翌日の朝から今の今まで一日の休みもなく働き続けることになるってことは、作品展を引き受けた瞬間から分かってましたよ!愛と感謝にあふれたあの日々がもうずいぶん昔のことのようだぜ。次回に向けてこれからもますますがんばります。いつかどこかで皆さんにもお会いしましょう。(2012年1月31日)